食養内科

57 歩きながら考える

日野先生に聞いた話です。日野先生は歩きながら考えれば陽の考えが出るから、悩んでいるときは歩きながら考えればよいと言われました。
 その時、私は初めて歩きながら考えるということを知りました。それまで考えるというのはロダンの“考える人”ではないですが、動かないですることだと思っていました。
 日野先生が言われたのは、歩きながら考えれば、陽の考えが出て、動かないで、例えば寝て考えれば陰の考えが出るといわれたのです。
 陽の考えとは、積極的な考えになります。前向きと言うか、希望的と言うか、未来が明るいような考えと理解してよいでしょう。
それに対して陰の考えというのは、消極的な考えになります。後ろ向きと言うか、否定的と言うか、未来が暗いような考えと理解してよいでしょう。
何となく分ったような気がして、私自身も困った時に、歩きながら考えたこともありました。
 この「歩きながら考える」ことの医学的な説明を書いた本がありましたので紹介します。
 著書は 「『うつ』にならない食生活」 高田明和著 角川書店 初版2002年、です。

 185頁、運動についての話
 私たちは体を動かすと、暗い気持ちになったりしてはいられません。有名なフロイトもノイローゼは運動すれば治るなどと言っています。
 私たちの脳は運動により大きな変化をうけます。最近、私たちの脳細胞が年をとっても増えるということがわかったのですが、それをより増やすには三つの方法があります。一つは運動、第二は刺激的な環境に生きる、第三は訓練です。
 運動は脳細胞、とくに前頭葉の細胞と記憶の入り口である海馬(かいば)の細胞を増やします。海馬はストレスと老化により細胞が死滅しやすいのですが、この細胞を増やす力があるということはすばらしいことだと思います。
さて、運動の第二の効果は運動を命令している脳の部分、前頭葉の運動野、脳の奥にある大脳基底核(線条体はその一部です)、小脳の働きが昂進(こうしん)し、そこの血流が多くなることです。
 すると、脳の悩みの中心である帯状(たいじょう)回(かい)や感情の中枢である扁(へん)桃(とう)の活動は下がるのです。つまり心の関心を悩みから解き放す効果を運動はもっているのです。人は走りながら悩むことはできません。テニスをしながら悩むこともできないのです。ですから頭から何かの悩みがどうしても離れないときは体を動かすとよいのです。

以上、参考文章を紹介しました。
 
平成24年5月30日
著作 長岡由憲