食養内科

60 体質の診断

慢性病を治すためには体質を良くする事が大切です。症状を治そうとしても体質を悪くしていると、なかなか改善されません。体質改善をする場合、生まれながらの体質は変える事が出来ませんが、生まれた後、自分がつくった体質は変える事が出来ます。
 私は体質の診断を漢方、中医学を使って行います。
 漢方(中医学)では、気・血・水(気・血・津液)の異常を判断します。

1)気の異常

気の異常でよくあるのが気虚です。気が乏しいという状態です。症状として「疲れやすい」という訴えがあれば、気虚があると考えて良いでしょう。
次に気滞ですが、気は体の上の方に行く傾向があり、体を動かさず頭ばっかり使っていると、上半身に気が停滞することになります。肩こりも気滞と関連しています。気滞があると血の流れも悪くなり血滞も起こります。上半身の皮膚を押えてみて痛い所があれば、気滞があると考えて良いでしょう。

2)血の異常

血の異常としては血虚と瘀血がよく見られます。血虚は血が乏しいという状態ですが、顔の色や手の色が白い人は血虚が考えられます。血虚を判断する場合、血圧測定が役に立ちます。血虚の人は低血圧が多いようです。
瘀血があると,女性では生理痛が起こりやすくなります。腹の診察で臍から下半分を押えてみて痛みを感じる所があれば、瘀血があると判断してよいでしょう。
舌の診断で瘀血を診る場合は舌前方の中ほどや両側に黒い斑点や紫色の部分があれば、瘀血があると判断できます。
又、舌を上に揚げて舌の裏を見た時、静脈が黒くはっきり見えれば、瘀血があると判断します。

3)水(津液)の異常

 水(津液)の異常も舌で診ることができます。水滞(痰飲)は水毒とも言いますが体に余分な水分がある状態です。水滞があれば舌にも水が溜まって水ぶくれ状態になります。水滞の人は舌の両側に歯型が付いて沢山のくぼみができます。歯型がしっかり付いているほど水滞もひどいと判断します。

 ガン患者の体質診断

 余談になりますが、このような診察を行なって意外な事は、ガンになった人の体を診た場合、体質的な異常が少ないのです。こういう体質的な診察を行なってみると、ガンの人は正常に近いのです。
 ガンは大病なのですから、体もさぞ異常になっていると思われるのですが、異常が少ないのです。ガンの種類がさまざまあり、進行の度合いによって異常な体質は認められますが、概して言える事は体質的な異常が少ないのです。
 亡くなった日野先生は「ガンには証が無い」と言っておられました。証とは漢方の言葉で病的な状態を分類する時に使いますが、「証がない」と言うことは病的な特徴をつかめないと言う意味になります。
 ガンは症状が乏しい病気です。病気の初期は殆ど症状がありません。症状が出るのは病気が進行してからです。病気があっても体質が崩れないということは、ガンを作って体質を調整しているようにも考えられます。

平成24年6月17日
著作 長岡由憲