食養内科

ウイルスの話   印刷用【PDF】はこちら≫

 病原生物として昔から恐れられていたのは細菌と寄生虫でした。寄生虫の病気は殆どなくなり、細菌についても素顔がはっきりしてきましたからそれほど恐れるものではなくなりました。今もっとも注目されている病原生物はウイルスです。
 ウイルスは小さな生物です。生物と言ってよいか分からないような特徴を持っています。ウイルスは生きている細胞の中に入った時だけ生きている感じです。細胞から出るとじっとしているのです。
 ウイルスの体は遺伝子の核酸(DNA,RNA)とタンパク質で出来ています。それがエンベロープという膜で包まれているのもいます。
 ウイルスは実に小さい生物です。右の図は私が白血球と細菌とウイルスを比較するために作った図です。マクロファージの全体像を入れると、ヘルペスウイルスが消えてしまうので、マクロファージは図からはみ出てしまいました。
この図は白血球が細菌などの病原微生物をどのように処理するかを説明するために作りました。
ぶどう球菌や結核菌などの大きさの物は白血球が食べてしまうのです。貪食作用と言います。これは顆粒球の担当になります。ウイルスは小さすぎて食べるのが難しく、リンパ球が処理をしますが、リンパ球は抗体と言うものを作り処理するのです。
右の図は岡田吉美著「ウイルスってなんだろう」から拝借した図です。大腸菌と比較した大きさがわかります。大腸菌は前図にもありますから、それと比較してみるとウイルスの大きさがわかります。
 ウイルスはタバコモザイク病の研究により発見されました。モザイク病にかかったタバコの葉の抽出液を細菌を通さない素焼の濾過板を使った濾過器を通してみました。すると濾液に感染性のある物質があったのです。
この物質の研究が進み、細菌より小さい光学顕微鏡では見えないウイルスという生物が発見されたのです。
タバコモザイクウイルスは植物に発見されたウイルスですが、動物に感染するウイルスで最初に発見されたのはウシ口蹄疫のウイルスです。その後、細菌に感染する細菌ウイルスが発見されました。細菌に侵入するウイルスでバクテリオファージと言います。右図にバクテリオファージT2があります。人工衛星の月面着陸を思わせるようなカプセル型で足を持っています。この足で細菌の表面に着地すると頭の部分にあるDNAが胴体の部分を通って細菌の中に注入されるのです。細胞内に入ったDNAは活動を始め細胞の中で細胞成分を材料としてファージの複製を行うのです。
 ウイルスは病原体として発見され怖いように思いますが、人体に病原性を出さないウイルスが住み込んでいます。
血清肝炎を起こすB 型、C型肝炎ウイルスは健康な人の血液にいるのですが、その血液を輸血された人が肝炎になるのです。
健康な時に病原性を出さないウイルスでも、その人の健康状態が悪くなると病原性を出す事があります。ウイルスは細胞の中に入り込んでいますから、他人なのか自分なのかわからない状態になります。そのため治療が困難になるのです。不摂生により健康度を落としてウイルスが活性化した病気については、健康度を上げることが病気の根本的治療につながります。
平成25年4月20日 食養内科 勉強会資料