食養内科

ミトコンドリアの話 印刷用【PDF】はこちらから≫

 ミトコンドリアという名前は知っていると思いますが、ミトコンドリアが何のために存在し、何をしているかを知っている人は少ないと思います。
 ミトコンドリアが何をしようと私には関係ないと言われればそれまでですが、私がミトコンドリアに興味を持ったのは、ガンの存在理由を考えるうちにどうしてもミトコンドリアを理解しなければならないと思うようになったからです。ガンはミトコンドリアが少ない細胞です。ミトコンドリアが少ない細胞は原始的な細胞なのです。
 細胞は生物の基本的なものですが、ヒトの細胞は細胞膜の中に細胞質があり、その中に核があります。核の中には遺伝情報が入っていますが、細胞質の中が生命活動を行っていることになります。細胞質の中にミトコンドリアがいます。ミトコンドリアの語源はミトが糸でコンドリアが粒子です。
 ミトコンドリアが居るというのは、ミトコンドリアが細胞の中にいる別の生き物のようなものだからです。別の生き物というのはミトコンドリアが細胞の遺伝子とは別に自分の遺伝子を持っているからです。
 本来、生き物は酸素がないところで誕生しました。地球ができた頃、地球の表面は二酸化炭素で覆われていたのですから、
生物は酸素がない状態が本来の状態だったのです。
それで生命の基本である細胞は酸素がない環境で、20億年くらい生きていたのです。
  酸素がない環境で、二酸化炭素と太陽の光と水を利用して
ブドウ糖を作る生物が生まれると大量の酸素が発生してきました。
  地球表面に酸素の量が増えてくると、今度は酸素を使って生きる生物が誕生したのです。その一つがミトコンドリアの基になる生物です。ですから20億年を超えると酸素を嫌う生物(酸素が毒になる生物)と酸素を好む生物(酸素を利用する生物)の両方が存在するようになり、それがある時に合体したのです。
 この両者が合体したために、本来酸素を嫌う細胞の中に新しく生まれた酸素を好む細胞が入り込んだのですが、入り込む時、酸素を好む細胞は自分の遺伝子の大部分を入った細胞に明け渡し、自分はわずかの遺伝子を持ったまま、居候のように細胞の中に入り込んだのです。
 実に厄介な状態になったのですが、この厄介な状態になると、酸素を使わない生物は酸素を使って生産される莫大なエネルギーを利用できるようになりました。その結果、酸素が嫌いであった生物の活動範囲が画期的に広がることになったのです。
 ミトコンドリアの仕事は生物が活動するためのエネルギー量を生みだすことです。エネルギーを生みだすとはATP を産生することですが、ミトコンドリアが酸素を使うとブドウ糖1分子から38分子のATPができます。
本来の酸素を使わないで生きている細胞は、エネルギーを生み出すのに1分子のブドウ糖から2分子のATPしか作り出せないのです。
 ミトコンドリアがATPを作る場合、ブドウ糖は完全に分解され水と二酸化炭素にもどります。この過程をクエン酸サイクルと言いますが、ゆっくりとした反応ですから、ミトコンドリアを使うATP産生は、急ぐ時はエネルギーの供給が間に合わないのです。通常はこれで良いのですが、急ぐ時は酸素を用いない解糖という方法で ATPを産生します。解糖ではATP の産生量は少ないのですが、素早く産生できるのです。
 ミトコンドリアをいっぱい持っている細胞はゆったりしていてじっとしています。反対にミトコンドリアを持っていない細胞は忙しく動き回っています。
 又、ミトコンドリアをいっぱい持っている細胞は細胞分裂が少ないのです。反対にミトコンドリアが少ない細胞は活発に細胞分裂を行っています。
 ミトコンドリアが多い細胞の代表の卵子で、ミトコンドリアが少ない細胞の代表は精子です。
 ミトコンドリアがいる細胞はエネルギーが豊富にあり、細胞分裂はしないで動きも少ない細胞です。ミトコンドリアがいない細胞は細胞分裂も激しく活発に動き回って短い生涯を終えるので、エネルギーの消費が多いのです。ガンは大量のブドウ糖を消費していることは分かっています。人体がガンを作ると言うことはエネルギーを大量に消費していることになります。
平成25年5月28日 勉強会資料