食養内科

 66 陰の毒  印刷用PDFはこちら>>

 陰の毒は人体の味覚、視覚を喜ばすもので、一時的な幸福感をもたらす物です。
 陰の毒は少量、適量では体を益するものですが、大量、過剰では体に害を及ぼすものです。
 陰の毒は毒性が出るまでに時間がかかるので、毒であることに気がつかない物です。

 陽の毒は作用がすぐ出るので分かりやすい。
 陽の毒というのは普通の毒のことです。
 陰の毒はゆっくり出るので分かりにくい。

 陰の毒について説明します。
 陰の毒というのは、私が作った言葉です。
 私は若い時、陰の毒のために、苦しい思いをしました。
 陰の毒は毎日の生活で毒と言われるものではありません。むしろ体を益するものなのです。体を益するものであっても、これを体の中に入れる量によって毒に変わるのです。体に良いものでも摂り過ぎると、体に悪いものになるのです。
 このメカニズムを説明します。私が経験した陰の毒は砂糖と果物です。砂糖も果物も食べると元気になるものです。しかし砂糖と果物を食べ過ぎると体は段々と弱っていくのです。私は自分で体験しているから、それが実感として解るのです。
 砂糖と果物は食べ方によって、毒にも薬にもなるのです。この作用は酒(アルコール)と似ています。抽出した油もこれに似た作用があります。
 酒が飲み方によって毒にも薬にもなることは何となく分かると思いますが、砂糖と果物がどうして毒になるのでしょうか。

人が普通に食べる物が陰の毒になる

 日本人は米を主食として食べています。米は穀物で稲の種になります。人類は種を多く食べています。小麦もトウモロコシも豆も種です。種というものは生命体です。米は芽が出て稲になり穂をつけるのです。種は人間が生命を維持するための成分を多く持っているのです。
 多くの穀物を種の中から、日本人が米を主食に選んだのは米の価値を認めたからです。もともと日本に生えていた穀物は粟や黍や稗でした。米は南方から入ってきたので、日本原産種ではないのです。米は魅力ある食品で、日本人は品種改良を続けながら、北海道まで米を植えるようになりました。
 多くの穀物の栄養成分を比べてみると、それぞれ特徴があります。成分の多いものと少ないものがあるという意味です。
 米は味が良くて栄養のバランスも良いので、日本人は主食として米を選んだのです。米は穀物として最高級のクラスですが、米が毒になることがあるのです。江戸時代、江戸に住んでいた大名家の人が江戸患いという病気になりました。
 これは米を精米して白くしたため起こる病気です。病名でいうと脚気です。米には胚芽というものがありますが、精米して胚芽がなくなったものを食べていると、脚気という体がうまく機能しない病気になるのです。玄米の場合は胚芽がついていますが、白米は胚芽がついていません。胚芽の中に何か体に大切な成分があってその成分がない米を食べていると脚気になったのです。
 その成分はビタミンB1であると今ではわかっていますが、ビタミンB1がないと体のある部分が機能を停止するのです。その結果、体がだるくなり、体が動かなくなり、歩けなくなるのです。
 こういう結果を見ると白米が毒になることがわかると思います。砂糖にはビタミンB1がないのですから、砂糖を食べ過ぎるとビタミンB1不足になり、脚気のようになるのです。ですから砂糖はエネルギーとなり、体を元気にするものなのですが、ある量を超えて食べると、体の機能を低下させる毒に変わるのです。果物も砂糖と似た所がありますから、食べ過ぎると体の機能が低下するのです。

毒ではない添加物が陰の毒になる

 もう一つ陰の毒について話をします。これは食品添加物の重合リン酸塩です。重合リン酸塩はポリリン酸ナトリウムとも言います。
 重合リン酸塩は品質改良剤として、かまぼこやちくわ、ハム・ソ-セージのような加工食品に歯ごたえを良くするために使われているものです。
 それは代表的なもので、多くの食品に使われる意味は変色防止です。食品に金属が含まれています。その金属が酸化して食品の色が黒っぽくなるのです。黒っぽくなると見た目が良くないので重合リン酸塩をいれて、酸化を防いでいるのです。
 重合リン酸塩はカルシウム、マグネシウム、鉄などの金属イオンと結合しリンとの化合物になると酸化作用がなくなり、食品の色が変わらなくなるのです。しかしリンと結合した金属は人体に吸収されない形になったのです。
 この添加物は毒性がないので入れても表記する義務がなくて、幾ら使っても良い添加物なのです。だから心配ない添加物なのですが、体に入れる量が多くなると問題を引き起こすのです。現代の生活は自分で作らないで、出来上がった物を買って食べる人が多くなりましたから、毒でない添加物であっても気を付けなければいけないのです。
 日野厚先生は30年前にそれを指摘しておられるのです。

重合燐酸塩

 最近、大変広汎に用いられている添加物の代表的なものとして重合燐酸塩(ピロ燐酸塩・ポリ燐酸塩・メタ燐酸塩など)がある。これは品質改良剤(従来、結着剤と言われていた)として各種の食品に広く使用されるが、カルシウムやマグネシウムや鉄などの金属イオンと結合し、ハムやソーセージの膨脹性・保水性・結着性を増したり、ねり製品・清涼欽料水・缶詰・醤油・佃煮・ソース・食酢・漬物類・味檜・豆腐・アイスクリーム・酒類・麺類・チーズ等の一般食品等の変色変質防止・味の調和・風味の向上・組織の改良などに広い効果を示したりする。殊にその結着作用は特に燐酸塩の特長とされ、食品の歯ごたえを向上させ、食品のコシを強くし、ソーセージや水産練り製品の製造に欠くことが出来ないものとされている。そうしてこの重合燐酸塩は毒性が殆どないと言われているが、現在日本では使用制限がなく、今のように広汎に使用されると、そうでなくてもカルシウム対燐の比が1対3.2(昭和38年度の国民栄養調査による)というようにカルシウム摂取が少ない日本人(昭和29年度では1対5.0)では重合燐酸塩多用により余分に燐がカルシウムに比して一層多くなり、その上、体内に吸収され利用される筈のカルシウムを重合燐酸塩が補捉するから益々利用されるカルシウムは減少することになる。そういう点からも、如何に重宝至極ではあっても重合燐酸塩の使用を今少しく慎重に取り扱うべきではあるまいか。
「自然と生命の医学」594頁
 これはどういう事を言いたいかと言うと、こう言うものを無制限に摂っていると体の中に必要なミネラルが入ってこなくなりますよと言うことです。カルシウム、マグネシウム、鉄も亜鉛も体の中に入ってこないですよと警告しているのです。
 体の中のミネラルが欠乏すると体内で使われている酵素が作られなくなります。そうすると人体は機能を停止することになるので、疲れやすい、だるいという症状が出ますが、様々な臓器の症状が出るのです。それでも、血液検査で異常が無く、これらは原因不明と言われ、中にはうつ病にされている人もいるのです。


平成25年9月29日
著作 長岡由憲