食養内科

68 人体の仕組みと病気の発生          印刷用PDFはこちら>>

人体の仕組みを自動車と比較して説明し、食べ物で病気がどのようにして起こってくるかを説明します。

 人体の仕組みを自動車と比べてみると、人体と自動車では構造があまりにも違うために、説明する上で問題はあると思うのですが基本的なところだけの話です。

 人体の仕組みは複雑ですが、人体の動力源の仕組みを理解するために身近にある自動車と比較して説明します。
 
 自動車の仕組みは簡単です。タイアを回すためにエンジンがあります。エンジンは火花を出してガソリンを燃やして回転します。ピストンはオイルを使って滑りを良くしています。そしてハンドルとアクセルとブレーキで運転します。細かいことはいっぱいあるでしょうが基本的な所はこれくらいであると思います。

 自動車と人体を比べると、自動車のエネルギー源はガソリンですが、人体のエネルギー源は食べ物、飲み物です。それに空気や日光が加わって動いています。エンジンはガソリンに火をつけて爆発させ強い力を出しています。
 人体はブドウ糖を利用してエネルギーを出しますが、それは化学反応によって起こります。その時使われるものが、栄養素でいうとビタミンとミネラルです。
 科学反応は酵素という触媒を介して行われます。そのため、酵素がなくなると化学反応が起こらなくなり、エネルギーを出なくなります。酵素に含まれているのがミネラルです。従って、ミネラルが欠乏すると、酵素の働きがなくなり、人体は機能を停止することになるのです。

病気を三つに分けて説明します。

 ① 一番わかりやすいのは病原菌による伝染病です。食べ物が乏しい時は伝染病が主流でした。昔から病気というのは感染症(伝染病)のような熱病でした。体が弱っていて病原菌に感染してなる病気です。細菌やウイルスなどの病原菌に感染すると、症状が出てきます。昔は病気の主流は伝染病でした。人々の食生活が貧しかった頃は伝染病になりやすかったのです。これが最も分かりやすい病気です。食べ物が乏しかった時期は病気というものは感染症でした。

 ② 次に最近多くなった生活習慣病があります。食べ物が豊富になり仕事も多くなると、生活習慣病が主流になります。肥満、糖尿病、脂肪肝などの食べ過ぎによる病気が増えてきました。又、仕事過剰、睡眠不足、運動不足など体の使い方の誤りによって起こる病気が出てきました。
これは体の使い方に問題があって起こるのです。働きすぎ、食べ過ぎ、運動不足、睡眠不足、ストレス過剰等、機械としての体の使い方を間違ったために起こる病気です。
これも原因がはっきりしている場合は、それを修正することによって、治すことができます。この病気は自動車で説明するとハンドルやアクセルやブレーキの使い方に問題があったようで、原因は単純です。

 ③ 次に原因不明と言われている病気があります。
原因不明の病気は、生まれつきの体質で起こっていて、原因は遺伝だから、治ることは無く、対症療法しかないと考えられています。
 この原因不明と言われている病気の中に食べ物による病気があります。食べ物による病気は、食品の質や栄養素の内容が原因になって起こっています。
 食べ物が豊富になり、新しい食品や嗜好品が増えると、不思議なことに体力が低下する病気が現れるのです。

 私は体が弱くなった原因に食べ物があった

 私は自分の体験から、原因不明の病気の原因が食べ物にあることを発見しました。私は若いころ、体が弱く、よく風邪をひき、体はだるく、朝起きられないような状態になりました。便秘はするし、腰痛もよく起きるし、立ちくらみもあるし、病名をつけると低血圧とか貧血というような状態です。
 玄米食を知り、三白の害を知り、食生活を変えたら、これらの症状が改善されたのです。これは私にとって大発見であり、それまでの常識が根本から変わるような体験でした。
 私は甘い物が好きで、菓子や果物を多く食べていました。砂糖大好き人間だったのです。
 今考えてみると、砂糖、果物の食べ過ぎはビタミン B1不足になっていたと思います。
 ビタミン B1が不足すると、体は機能を停止させます。明治時代に海軍で脚気が多発し、多くの人が死んだのです。原因は心臓の脚気です。心臓が機能停止になるのです。
 人体はどのようなメカニズムで動いているのでしょうか。
 人間も昔は野性的な生活をしていましたから、人体の仕組みを考えなくても普通に生活して、食べる物があれば特別な病気になることありませんでした。
 ところが文明が発達し、人間が自然界になかった物をいろいろと作ることによって、新しい病気が起こってきたのです。

原因不明の病気の中に栄養素がアンバランスの人がいる

 食べ物は加工、保存する技術が発達して、それまで食べていなかったような物を食べるようになって、原因不明の新しい病気が生まれてきたのです。
 新しく起こってきた病気は栄養素欠乏症と言ってよいでしょう。最も早く現れたのが脚気です。これはビタミン B1欠乏症です。その後、壊血病と言われるビタミンC欠乏症も現れました。現在多くなった原因不明の病気はミネラル欠乏症です。カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、コバルト、セレン…、様々なミネラルがありますが、これが欠乏すると、様々な病気が現れるのです。そして、これらの病気が原因不明と言われている病気なのです。
 ビタミンが欠乏すると病気になると言うのは何となくわかると思いますが。ミネラルが欠乏するとどうして病気になるのでしょうか。
 例えば出血して鉄が不足すると貧血になるのは分かります。又、ヨードが不足すると甲状腺の病気になるというのも分かります。ではカルシウムが不足するとなぜ精神がおかしくなるんでしょうか。又、亜鉛が不足するとなぜ皮膚病になるのでしょうか。
 ミネラルは一体どのような働きをしているのでしょうか。

 ここで人体の仕組みを改めて説明しますが、人体はブドウ糖をエネルギーとして動いています。ブドウ糖はエネルギーの元になっています。ブドウ等は食べ物として口から入ってきます。油もタンパク質も人体の中で分解されて最終的にはブドウ糖になって利用されます。

人体コントロールする二つの仕組み

 人体をコントロールしているものとして自律神経とホルモン(内分泌)があります。この二つの系統で人体はコントロールされています。自律神経は交感神経と副交感神経の二つの対立する機能を持った神経でコントロールされています。
 一般的にいうと交感神経は活動する神経で、副交感神経は休養する神経です。ですから片方が働いていると片方は休んでいるというような仕組みになっています。
 脳からの命令は神経の細い線を通って伝えられます。命令は的確に早く伝えることができます。一方ホルモンによるコントロールは神経と異なります。例えば副腎ホロモンを考えてみても、副腎からホルモンが血液の中に放出され、血流に乗って全身に巡らされるのです。ですから、どちらかというとゆっくり全身に行き渡るということになります。
 ホルモンもそれをコントロールする中枢があります。それは頭の中にあり、脳下垂体と言われるものです。脳下垂体は全身のホルモンの司令部です。ここから命令が出ます。甲状腺のホルモンを出させようと思ったら、脳下垂体から甲状腺刺激ホルモンが分泌され、これが血流に乗って甲状腺の血管に届くと、甲状腺がホルモンを分泌するのです。
 自律神経も内分泌も人間の生き方、生活の仕方に応じた対応を行っています。ですから、昼間働いたら夜は休む。疲れる程働いたら、しっかり休むというような生活をしないと自律神経やホルモンの調節が異常をきたし病気という状態になるのです。

人体を動かしている二つの仕組み

 このような人体のコントロールについてはまだわかりやすいものです。実はこのコントロールは表面的なもので、この裏で人体を基本的に支えている仕組みがあるのです。これを知るともっと病気の本質にせまることが出来るのです。これがビタミンと酵素です。
 ビタミンと酵素が欠乏すると人体は機能を停止してしまいます。死ぬということです。これは大変なことです。ですから、病気になり、病気が治らない人は、このことを知っておく必要があるのです。
 始めにビタミンの話をします。ビタミンが発見されたのは脚気という病気からです。脚気は脚(下肢)の症状からついた病名のようです。脚の重感、全身倦怠感、運動時の動悸から始まり、神経が麻痺して起立不能になります。ひどくなって心臓に衝心脚気という命がけの状況になります。この病気になると1~3日で死亡するそうです。
 次に酵素がどのように人体を支えているかを説明します。人体のすべての代謝は酵素の働きによって動いているのです。これを代謝酵素と言います。人体で作られている酵素は代謝酵素と消化酵素です。消化酵素は唾液、胃液、膵液とか消化管に分泌されるものです。
 代謝酵素は人体の各臓器の中で働いています。手足を動かすのも、呼吸するのも、頭を使って考えるのも酵素が働いているのです。ですから酵素が働かなくなると、体が動かなくなるのです。
 酵素が何でできているかと言うと、タンパク質(アミノ酸)とミネラル(金属)です。ですからタンパク質が欠乏すると、酵素の働きが悪くなります。又、ミネラルが欠乏しても酵素の働きがわるくなります。ですから、タンパク質(アミノ酸)とミネラルは必須栄養素と言われているのです
 タンパク質は昔から大切さは分かっていますから、普通に気つけていると思います。タンパク質は肉や魚、又は大豆製品ですから、これは食べたか食べないかよく分かります。けれどもミネラルは目に見えないのもですから、意識しておかないと大事な事を忘れてしまうのです。
 ではミネラルはどのように大切かと言うことになりますが、ミネラルの代表はカルシウムです。
 カルシウムの欠乏は骨の問題だけではないのです。カルシウムは人体のいろんな器官に使われていますから、骨に貯蔵していると言えるのです。
 カルシウムの関連する作用は筋肉の収縮、血液の凝固、免疫反応、精神安定等あります。
酵素に多く入っているミネラルは亜鉛です。200種の酵素に入っていると言われています。亜鉛が欠乏すると200種の酵素が働かないことになります。
 亜鉛の欠乏症としては味覚異常が有名です。その他、嗅覚低下、皮膚症状、脱毛、発育障害、うつ状態、情緒不安定など様々あります。ここで、不足が心配なミネラルを挙げてみると、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、セレン、クロム等があります。
 こういう話をすると、病気にならないためにはミネラルをしっかり摂ればいいじゃないと言われそうですが、そういう単純な話ではないのです。ミネラルは取りすぎると毒になるのです。ここが問題です。体に必要なミネラルであっても、摂り過ぎると体は困ることになるのです。
 この点はタンパク質(アミノ酸)も一緒です。タンパク質を取り過ぎると厄介な病気の原因になります。タンパク質の摂り過ぎは免疫を狂わせることもあります。皮膚病、腎臓病、アレルギー等様々な病気の原因になります。
 金属も摂り過ぎると厄介で、鉄を摂り過ぎると体の中に鉄が溜まって血鉄症(ヘモジデリン沈着症)という病気になります。カルシウムも摂り過ぎるとカルシウムが血管に沈着します。多く摂ればいいというものではないので、栄養素の摂取はバランスが重要なのです。
 ですから、人間の頭で考えてやっていると、バランスを崩す恐れがあるので、自然のままをできるだけ崩さないような形で摂取することが無難なのです。
 もう一つ加工食品、保存食品を多く摂ることの危険性を話します。それは加工食品、保存食品には食品添加物が入っていますから、これがビタミン、ミネラルの不足をもたらすのです。
 食品添加物については危険な物質は現在除去されていますから、安全と思っているでしょうが、それは正しいのです。確かに安全なのですが、食品添加物は一種類だけ食べる事はないので、多種類の食品添加物を食べることも、又同じ食品添加物を頻回食べると、そこに問題が起こるのです。
食品添加物が体内に入ると、それを体から出すために、ビタミン、酵素(ミネラル)が使われるのです。加工食品、保存食品はもともとビタミン、ミネラルが少ない食品です。それを食べると体の中にある、ビタミン、ミネラルが消費されます。そうするとビタミン、ミネラルが体内に乏しくなると、体は原因不明の不調になるのです。
 もう一つ食品添加物の問題は、水に溶けている金属と化合して、金属を人体に吸収されない形にする添加物があります。代表的な物に重合リン酸塩(ポリリン酸ナトリウムと)があります。これは品質改良剤といって食品の価値を高めるために、多くの食品に入っています。食品に含まれている金属をキレートするため、金属の酸化作用が無くなり、変色を防止することができるのです。又、魚や肉の練り製品に使うと、歯ごたえが良く食感が良くなるのです。
 リンという物は体に必要なミネラルですから、この重合リン酸塩は使用量に制限がなく、表示義務もないため、どのくらい使われているのか分からないものなのです。全く毒でない物であっても、多く摂ると毒になるのです。ミネラルは適量摂らないと危険な食品であるということを知っておくことが必要です。

平成25年12月27日
著作 長岡由憲