アトピー性皮膚炎を克服する

 目次

       1.発病の要因を二つに分けて考える

       2.発病を分析する

       3.後天的要因

       4.環境的要因

           ① 日本の気候

           ② ダニ、ほこり

       5.肉体的要因

           ① 食生活

           ② 運動

           ③ 休養

           ④ 性格

        6.皮膚炎の発病

           ① アトピー性皮膚

           ② アトピー性皮膚炎

        7.治療、予防

           ① ステロイド外用薬 

           ② ステロイド外用薬が怖くてつかえない人

           ③ 入浴

           ④ 温泉

           ⑤ 旅行

           ⑥ 痒みに対して

           ⑦ 冷蔵庫

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  発病の要因を二つに分けて考える

  アトピー性皮膚炎は多因子による病気と言われている。多くの原因が重なっていると言うか、集まって発病すると考えられている。そこで私はこの原因を大きく二つに分けて考えてみる。二つの要因とは先天的要因と後天的要因である。この二つの要因の両方が重なった時、発病すると考えてよい。先天的要因があっても後天的要因がなければ発病しないし、先天的要因がなければもちろん発病しない。

 

先天的要因
(遺伝的素因)

後天的要因
(『不摂生』・心・環境)

発病

 

アトピー性皮膚炎と言ってもアレルギーの要素が強いアトピー性皮膚炎とアレルギーとは思われないが、症状としてはアトピー性皮膚炎と同様な人がいるので、このどちらもが先天的な要因をもっていると考えて良い。

  先天的要因と言うのは、生まれながらに持っている遺伝的な素質のことを言う。生まれながらにもっている素質を遺伝的素因という。これは、その病気になる可能性をもって生まれたということであり、この素因があれば、いつか必ず発病するというものではない。糖尿病も遺伝的素因をもっていると言われるが、それと同じようなものと考えれば良い。遺伝的素因があっても、生まれてからアトピー性皮膚炎になるような生活をしなければ、アトピー性皮膚炎になることはない。もしアトピー性皮膚炎になったとしても、アトピー性皮膚炎になるような生活をやめると、又もとの正常な皮膚に戻る。

  後天的要因というのは、生まれてから後に行ったことで、アトピー性皮膚炎の発病に一役買っている要因のことである。赤ちゃんが皮膚病になる場合、母親の妊娠中の生活が原因することがあるが、これも後天的な要因と考えてよい。

  アトピー性皮膚炎の発病を考える場合、先天的要因は誰もどうすることができないから、これはほっておくしかない。我々が出来ることは後天的な要因を把握しこれを除去して行くことである。これがアトピー性皮膚炎の予防・治療につながる。

 

  2. 発病を分析する

  一般に病気の発病を考える場合、人体の問題とそれを取り巻く環境の問題を考えなければならない。環境という場合、部屋とか家のような身近な問題と、空気や水のようなもっと広い範囲の問題がある。ダニ、ほこりは部屋とか家のレベルの問題であろう。

  私はアトピー性皮膚炎の治療に於いて、環境の問題よりも発病した個人の個人的な生活上の問題を重視している。環境については後回しにしている。

  個人の問題を考える場合は、肉体面と精神面に分ければ良いが、肉体を考える場合は食生活、運動、休養の三つが大きな要素になる。どれを取ってみても大事な問題であるが、その中でも、食生活が大きな要因になっていると私は考えている。

  アトピー性皮膚炎の発病に関しては以上に上げた要因のすべてが量の多少はあるが関係しているようだ。これを一つ一つ解明して行くと、アトピー性皮膚炎の全容がつかめてくる。発病に関してその原因になるものは個人個人でそれぞれ少しずつ違っているのでアトピー性皮膚炎の人は、自分は何が問題なのかをつかんで行かなければならない。それが分かったころにはアトピー性皮膚炎の悩みは解決しているはずである。

 

  3.後天的要因

  どのような生活をしたら発病するのであろうか。不摂生という言葉があるが、この不摂生を続けていると発病すると考えて良い。「私は不摂生なんかしていません」と多くの人は言うと思う。「私はいくらか不摂生をしている」と思っている人もいるでしょう。不摂生というと、摂生をしないこと、すなわち慎みがないとか、我慢しないというような意味になると思う。したがって昔ながらの不摂生という言葉は現代人に多くなっている病気の発病原因としては適当ではない。アレルギー病患者の中には健康になるために、牛乳をせっせと飲み、肉類を積極的に食べた人もいる。こういう人は不摂生をしたとは言えない。むしろ養生に努めたような人である。

  私が不摂生というのは「自然の法則に逆らったような生活」を言っている。これを考えてみると大変難しい。自然の法則と言っても生物には環境の変化に対する適応力がある。食べることに関しても決まったものを食べなければならないということはなく、色んなものを食べて生きて行けるのだから、何が自然なのかという問題は考えてもすぐには答えが出て来ないのである。

  私が自然の法則というものをつらつら考えてみるに、生物は適応できるある幅をもって生きているようだ。その中であれば十分健康で生きて行けるが、その幅を越えた状態が長く続くと、だんだんと健康を害して行くように思える。

  たとえば睡眠時間を例にとってみると、8時間眠る人、7時間眠る人、6時間眠る人がいる。人が眠る時間は何時間が自然なのかという問題についても個人的にも幅があるし、人類全体ではもっと幅がある。個人的にみればその幅の中で睡眠をとれば健康が保てるであろうが、その幅より短い睡眠時間が長く続くと、ある時点から体調が悪くなってくる。

  食生活においても同じことが言える。お酒を考えてみても酒好きの人が清酒を一回2~3合飲んだ所で体が変になることはない。一升酒が飲めるという人もいる。しかし、毎日毎日多量の酒を飲んでいると、体は段々と適応能力の範囲を超えて、病的な状態へ入って行く。そしてついには発病という事態を迎えることになる。

  アトピー性皮膚炎の発病に関しても、発病に至るには、自然の法則を越えた生活を何年か積み重ねた結果そうなったのであって、1日2日の原因で起こった訳ではない。長年の積み重ねの結果、症状が出るのでいったん症状が出始めると、しばらくは続いて出る傾向がある。だから皮膚病が出た時、出ない体にするためには、自然の法則からはずれない生活をしばらく続けなければならない。自然の法則から外れない生活をしばらく続けていると、だんだんと皮膚病が出ない体になる。

 

4.環境的要因

  ① 日本の気候

  環境的な要因を考えるとき、日本の気候がヨーロッパに比べて温暖で湿度が高いという特徴が重要な要因になる。これがアレルギー疾患の多発と関係している。東洋医学からみるとアレルギー疾患は水毒の面を持っている。水毒とは不必要な水分が体に中に多くある状態と言える。

  日本の気候は夏に気温が高く、湿度が高いから、皮膚の赤みが強く、浸出液の多い皮膚病は夏に悪化する。冬は寒くて空気が乾燥するから、乾燥肌で皮膚の白っぽい皮膚病は冬に悪化する。

  人の皮膚は夏・冬の気候の変化に対しては十分適応できるように作られている。アトピー性皮膚炎になると気候の変化について行けなくなり、つらい毎日になる。

  日本の湿度の高い気候は、アレルギー病多発の原因となっていることを理解していた方が良い。

 

  ② ダニ・ほこりの問題

  現在、アレルギーの原因を血液で調べるとき、RASTという検査が一般的である。昔は皮膚に何本も注射をして、アレルギーを起こす物質を突き止めようとしたものであるが、現在は血液で調べられるようになったので、それが主流である。RASTで調べると、ダニ・ほこりが過敏に出る人が多い。したがって多くの医者はダニ、ほこりが原因であると思っている。しかし、アトピー性皮膚炎の専門家はRASTの結果をあまり重視しない。私も殆ど無視している。ダニ、ほこりが影響する人もいるが、それは、多くの因子の一つであって、それがすべてであると考えることはない。ダニ、ほこりを少なくするよう努力することは良いが、ダニを完全に無くそうとするのは大変な努力を要すると思う。掃除や布団を干すことを、こまめにするのは良いことである。

 

  .肉体的要因

  肉体的要因には、食生活、運動、休養の三つがある。順番に考えてみよう。

 

  ① 食生活

  これは、私が最も関心を置いている所なので、言いたいことは山ほどあるが、その中でも要点を述べてみる。

  食事療法の内容としては、日本型食生活を行うべきである。これが自然の法則に合致した食事である。日本型食生活といっても、現在日本人が行っている食生活は、各地方で異なり、時代とともに変化し、ここ二・三十年の間に大きく変わったため、何が日本的なのか判断がつかなくなったように思う。

  明治時代に西洋の文化が入り、肉を食べるようになったが、日本全体からみれば、食べ物は十分なく、それほど変わった訳ではない。人々はだいたい似たようなものを食べ、食べ物は少なく今のように食べ物があふれているような状況はなかった。

  食べ物が大きく変わったのは昭和40年代からで、インスタント食品の増加、ファースト・フードの増加、冷蔵庫の普及があり、大量生産、大量消費の生活が進んで来て、生活が豊かになったことが背景にある。

  食べ物を選ぶ基準として、おいしい物、栄養的に良いと言われる物、手をかけずに食べられる物、くち当たりが良く食べやすい物が中心になっているように思う。それで昔食べていたものとはかなり異なった食品が多く食べられるようになった。私はこれを「現代的偏食」と呼んでいる。

  主食が少なくなり、副食が多くなった。硬いものが少なくなり、軟らかいものや、飲み物が多くなった。油を使う料理が多くなり、子供達は洋風の料理を好んで食べるようになった。

  日本人が長年続けて来た食生活が大きく変わって来た。私が子供の頃は、田舎であったが、まきを燃やしてカマドでごはんを炊いていた。そうすると炭ができるから、その炭で焼いたり煮たりする料理をしていたが、いまは田舎でも、ガスと電気で料理をする家が殆どであろう。燃料の変化も料理法を変えた原因になっていると思う。

  都会の生活では、お金さえ出せばいろんな料理をすぐに食べられる環境にある。しかしそれは何時間か前に作ったものであり、食品には添加物が加えられ、ビタミン類の減少した質の低下した物になっている。したがって、こういう食品を毎日食べていると、体力は低下し発病の原因を作ることになる。

  アレルギーというと、第一に蛋白質が問題にされる。牛乳、乳製品、肉類が最も危険な食品と思われているが、アレルギーの人は、牛に関係した食品を少なくしているようである。

  食物アレルギーを研究している人は、牛乳、卵、大豆を危険視している。したがってこれらの食品もアレルギーの人は注意している。

  その結果、蛋白質に関しては以前に比べて変化が起こっている。牛乳を飲む人も昔に比べて、量が少なくなったと思うし、肉よりも魚を食べようという考えが浸透して来ている。

  今、無防備なのは油と砂糖である。アトピー性皮膚炎について言えば、アレルギー反応以外の原因によっても発病するが、私の経験では、砂糖、油、果物、香辛料のようなものも、過剰に食べるとアトピー性皮膚炎と同じ状態になると思っている。

  油と砂糖は子供の菓子に多量に入っている。スナック菓子は油と砂糖が多い。塩分も多い。清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料などの飲料に砂糖が多く入っている。チョコレート、アイスクリームにも砂糖が多量に入っている。

  アトピー性皮膚炎になる恐れのある人は菓子類を少なくしなければならない。最近のアトピー性皮膚炎は牛乳、肉類多食の人が減って、油、砂糖、果物の多食が増えているように思う。

  何が原因としても食べるべき食品の種類と量の範囲を超えると、又その範囲に達しない欠乏食を続けると、自分の持っている病気の素因(私は病気の種と呼んでいる)が動き始め、発病に至るようである。発病になるまでには長い年月がかかっている。

  牛乳はアレルギーになるが、ヨーグルトは体に良いと思っている人は多いと思う。アトピー性皮膚炎患者の中にはヨーグルトを毎日食べている人がいる。ヨーグルトも安心して食べる訳には行かない。もとは牛乳であるから日本人がヨーグルトを食べることは、コーカサスの人が食べるのとは違うと考えたほうが良い。最近のヨーグルトは砂糖や果物をいれて甘くしたものが多いから、そのようなヨーグルトは菓子と見なした方が良い。

 

② 運動

  運動はできるだけした方が良い。皮膚病がひどいときは、運動すると症状が悪くなるので運動がしたくても出来ないが、症状が良くなって来たら、それに応じて運動量を増やして行くべきである。運動と言っても激しい運動をする必要はない。歩くだけで良い。段々と長距離を歩くようにする。体が温まるか、汗が少しにじみ出る位が運動量としては適当である。

 

③ 休養

  疲れがたまると、皮膚病が悪化する。痒くなって掻くために悪化する。

疲れると症状を押さえる力がなくなってしまうようである。一日の疲れは、その日のうちに取るよう適度の睡眠が必要である。 

 

  ④ 性格

  アトピー性皮膚炎になりやすい性格があるようだ。それは又、治りにくい性格にも通じる。自分を素直に出さなない性格は問題である。遠慮深いのも問題である。我慢し過ぎるのも問題である。

  自分の要求は、はっきり訴えるように行動すべきである。

 

  6.皮膚炎の発病

  ① アトピー性皮膚

  これまで述べて来たような生物界の法則を越えた生活を続けていると、自分の持っている病的な素因が動き始める。皮膚が変化してくる。それがアトピー性皮膚である。

  アトピー性皮膚炎は皮膚科的には湿疹の一種であり、その特徴は“痒い”ことである。アトピー性皮膚炎は皮膚に多彩な症状を現すが、痒みはほぼ全例に当てはまる。痒いから掻く。掻くから傷が出来る。そうすると湿疹という状態になっていく。

  アトピー性皮膚と言うのは乾燥してやや硬くなった皮膚である。

空気が乾燥したり、体が温まったりするとすぐ痒くなる。ひどくなると薄い皮が鱗のようになってはげ落ちる。こういう皮膚は体の中の油分が少ないのだろうと油を食べる人がいるが、これは間違いである。体の中は、水分が少なくて脂肪分が多くなっている。皮膚に油類を塗るのは良いが、油脂類を多く食べるのは問題である。

  アトピー性皮膚炎は、乳児の頃、頭にでき、子供の頃、肘や膝の内側にでき、大きくなるとからだ全体に出ると言われているが、その傾向はあるとしても、人それぞれで決まってはいない。

  痒みはいろんな刺激で誘発され、患者は我を忘れて患部を引っ掻くのである。その結果、浸出液や血が出る。赤くなったり、痛くなったりする。カサブタも出来る。そうするとりっぱなアトピー性皮膚炎になる。

  アトピー性皮膚炎の痒みが増す条件は、体が温まることである。布団に入ってからだが温まると痒くなる。運動して体が温まっても痒くなる。

日光に当たっても痒くなる。風呂に入った後も痒くなる。

  体が温まって痒くなるのは、これで皮膚病がいくらか悪くなったとしてもたいした問題ではない。体の中にあって出よう出ようとしているものが、出るだけである。出るべきものは出した方がすっきりすることもある。

  米のごはんを食べて、皮膚病が悪化したときは、アレルギー反応ではなく出るべきものが出ていると考えた方が良いのではないか。

 

② アトピー性皮膚炎

  アトピー性皮膚炎の皮膚病変は、傷と考えれば良いと思う。引っ掻いたための傷である。普通の傷であれば、例えば擦りむいたとしても、その後は自然に治っていくがアトピー性皮膚炎の場合は傷のところを何回も掻くので、治ろうとしても又傷ができ、傷が治ることがない。そして古い傷、新しい傷、治りかけた傷、さまざまな傷が重なり合っている。

  この理論で行くと、掻かなければ傷は出来ないから、アトピー性皮膚炎にはならないということになるが、痒いからどうしても掻く。

  次の段階として、傷が出来たために防御壁がなくなって、細菌の感染が起こる。皮膚には常在細菌がいる。元気な人でもみんないる。その菌の中に、ブドウ球菌や連鎖球菌等の化膿菌がいる。これが傷口で病原性を発揮する。そうするとアトピー性皮膚炎の症状はもっと多彩になってくる。膿が出る。寒気がする。熱が出る。

  抗生物質はこの段階になると効果がある。化膿菌のワクチンを作って治療する方法は細菌感染を予防する意味で有効である。アトピー性皮膚炎もひどくなって細菌が問題になってくると細菌を攻撃する方法が有効になってくる。

  強酸性水も細菌を消滅させる方法であるから、この段階で有効である。

 

7.治療、予防

① 副腎皮質ステロイドホルモン外用薬(ステロイド外用薬)

  アトピー性皮膚炎の治療はステロイド軟膏が主であって、これをいかに使うかが治療の決め手になっている。ステロイド軟膏も弱い物から強いものまで各種そろっている。

  ステロイド軟膏は皮膚病を根本的に治すものではない。この軟膏がこれほど多く使われるようになったのは即効性があるからである。一時的ではあるが、急速に皮膚病が改善される。それでこの薬が広く使われるようになった。

  私は皮膚病を体質的に治すことを主眼に置いているから、ステロイド軟膏は基本的には使わない。ただ今までずっと使ってきた人の場合、すぐやめることはしない。一度にやめると皮膚症状が激しくなり、お互い困ってしまうからである。段々と少なくしている。

  やむをえず使う場合、皮膚症状を半分押さえ、半分出すくらいの気持ちで塗るようにしている。仕事をしていて、皮膚病がひどいと困る人や、皮膚炎がひどくて痛みや、不眠などで困っている場合はステロイド軟膏を使っている。ステロイド軟膏は対症療法としては価値があるが、長く使うものではないと思っている。

 

② ステロイド外用薬が怖くて使えない人

  ステロイド剤の副作用について警告する書物が出ているために、患者さんの中にはステロイド剤を極端に恐れている人がいる。よく効く薬だからよけいに怖いと思うのはわたしにも理解できる。ステロイド剤の作用は強力であるから、一度にやめてしまうのは人体の適応能力から考えて無理が有ると思う。ステロイド剤を内服するときは普通、段々と少なくする。塗り薬においても、段々と量を少なくして行くべきであろう。回数を減らすとか、一回の量を少なくするとか、ワセリンと混ぜて薄くするなど方法は考えればよい。

  薬を減らしていくと症状が悪化する恐れが有るが、食事療法をしっかり行って皮膚病が出にくい体にしていき、大丈夫と思ったら少しずつ減らしていけばよい。

 

  ③ 入浴

  湯船に入って温まり、汗を流すという日本の風呂は、健康法としてもすばらしいものである。血の循環を良くして、余分な水分を出す。塩分も出す。

  アトピー性皮膚炎の人で風呂に入らず、シャワーだけで済ます人がいるが、風呂の利用はアトピー性皮膚炎患者にとっては、非常に効果がある反面、つらくなることもあるので、症状に応じて上手に利用すべきである。

  風呂に入って、ヘチマか何かでごしごし擦ってかさぶたを落とす人がいるが、かさぶたは無理にとってはいけない。かさぶたのしたで皮膚が出来るので、自然に落ちるのを待つべきである。取りたくてもとってはならない。

 

④ 温泉

  アトピー性皮膚炎に温泉が良いという話は良く聞く。温泉はアトピー性皮膚炎だけでなく、リウマチにも良いと言う話もある。温泉も入浴法であり、体に良い面を持っているが、これを治療に使う場合は用心して行う必要がある。

  温泉療法をするような病人は、長い間病気を抱えて体力が落ちている人が多い。したがって、一つの問題は、湯に当たるといって、体力を失ってふらふらになる心配がある。体力がある人は、こういう心配はない。

  次に、湯で体を温めるので、血の循環が良くなり、アトピー性皮膚炎の場合、症状が悪化することがある。これは体の中にあるものが、体の表面に出るのだから悪いこととは言えないのだが、皮膚病を治したい人にとってはショックを受ける。

皮膚症状が悪化したら、温泉療法を制限して、皮膚症状を上手くコントロールし、時間をかけて治していくべきであろう。

 

⑤ 旅行

  短期間(2~3日)の旅行は気分転換や気晴らしになり解放感もあって、アトピー性皮膚炎には良いようである。

 

  ⑥ 痒みにたいして

  アトピー性皮膚炎の特徴の一つが痒みである。皮膚科医の中には、掻かないように注意する人がいるが、この痒みを我慢することは無理であろう。我慢した人の話を聞くと、昼間ずっと我慢しても夜中に寝た時掻くそうである。それで困って両手に手袋をはめて、両手を縛って寝たけれど、寝ている間に紐をほどいて、手袋もとって掻いていたということだ。

  これを聞いて、私は「掻かないように」ということはやめた。自由に掻いて良いと言っている。痒みというのは、「掻きなさい」と言う体の信号である。これに逆らうことはない。リンパ液が出て、血が出る。それでも掻いている。掻くのは気持ちがいいのだ。掻かない方が、アトピー性皮膚炎は悪化しないのだが、痒い時に最小限掻くことは仕方がないのではないか。

  掻きたい人には、「掻いても良い」と言っている。「掻いても食事療法を行っていれば、段々と治るから心配ない」と言っている。食事療法をやっていると、痒みが少なくなるから、自然に掻くことが少なくなる。それで掻くことに対しても、それほど心配はしていない。

 

  ⑦ 冷蔵庫

  冷蔵庫とアトピー性皮膚炎。どこに関係があるのかと思う。私も冷蔵庫に関しては気にしたことはなかったが、中医学医師の指摘があり、重要な問題であることが分かった。冷蔵庫から出したばかりの冷えた食品を多くとることが、アトピー性皮膚炎の発病と関係していると言うのです。

  冷え症や胃腸の弱い人が冷たい食べ物を多く食べるのは、問題があると思う。しかし、アトピー性皮膚炎の人が冷たいものを食べても、直接の関係はないと普通は思う。

  アトピー性皮膚炎をアレルギーだと考えれば、直接の関係はない。中医学ではアトピー性皮膚炎を体質的な問題ととらえ、体の中の水分に原因の一つを求めている。冷たい食べ物は胃腸の働きを弱め、食べ物の吸収を悪くする。体液の循環も悪くなり、これがアトピー性皮膚炎の下地を作る。

  私がアトピー性皮膚炎を診ている感じでは、胃腸の強いタイプが減って、胃腸の弱いタイプが増えて来ているようだ。胃腸の弱いタイプの方が、治るのに時間がかかる感じである。

  やせ形のタイプは、特に冷たい物に気をつけるべきである。

平成167